大口ヨッちゃん
419: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/07/20(月) 04:32:35.59 ID:IrBxDe/y0
もう十数年前の夏、父の里帰りにつきあった時の話。
父の故郷は九州の山奥。
周囲を青々とした山に囲まれた見渡す限りの水田地帯。
夜になり、親戚、近所のお馴染さん、父の旧友などの面子で飲み会をしていると
更にもう一人の客が訪れた。
「父くんが帰って来てるって聞いてね」
「お~!大口ヨッちゃん!元気だったか!!」
父にそう呼ばれ、父と親しげに肩を叩き合うその客の口は確かに大きかった。
逆三角形の尖った顔立ちに、笑いジワの目立つ大きくて薄い口。
欧米人のようなシャープな印象だが背は小さかった。
「おい息子、これ俺の小学校ん時の友達、大口ヨッちゃんこと○○ヨシヒコさんw」
「初めまして、息子です」
「あれぇ父くんとそっくりだな。大口ヨッちゃんですw」
「背は小さいけど口はデカいww」
「うるせぇなっw」
そんなこんなで”大口ヨッちゃん”を交え飲み会は続いた。
“大口ヨッちゃん”が後から来たせいもあって、それとはなしに俺は彼を見ていたが
見ればみるほど不思議な顔立ちだった。
尖った小さい鼻、黄身がかった大きな瞳、大きな耳…およそ日本人らしくない。
かと言ってどんな人種だとも断定できない不可思議な顔立ちだった。
そしてアダ名にもなっている薄く大きな口の、本当に大きな事。
華奢だけどどこか獰猛、そんな印象だった。
しばらくして、明日も早いからと”大口ヨッちゃん”は帰っていった。
それを機に俺も、俺も、と客たちは三々五々帰っていき
父と、旧友数人と、家主の大叔母が残るだけになった。
なんとなくちゃけた雰囲気の中で、父の旧友の一人が俺に
「なあ息子くん、”大口ヨッちゃん”て変わった奴だろ?」と問いかけてきた。
「やめなさいって」
大叔母が制止するが旧友は構わず続けた。
「あいつ、人間じゃないんだぞ」
しばしの妙な静寂。
別な旧友が話を継ぐ。
「歯医者に行ったら、こんな造りの歯は見た事ないと医者に言われたって、本人が言ってた」