いるはずのないもう一人がいる

いるはずのないもう一人がいる

262: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/05/23 13:49

ある夏休み、部活の合宿の最終日に
仲の良い生徒3人と先生が肝試しをしようと、真夜中に体育館に集まった。
ロウソクに灯をともし、体育館の照明をおとし、先生が恐い話を始めた。
最初は100物語をしようという話だったが、それでは夜が明けてしまう。
それではお互いに3回ずつ恐い話をしよう、ということになった。
そこで先生の提案から、最後の話が終わった後に、ろうそくの火を消し、
ある夏休み、部活の合宿の最終日に仲の良い生徒3人と先生が肝試しをしようと、
真夜中に体育館に集まった。

ロウソクに灯をともし、体育館の照明をおとし、先生が恐い話を始めた。
最初は100物語をしようという話だったが、それでは夜が明けてしまう。
それではお互いに3回ずつ恐い話をしよう、ということになった。
そこで先生の提案から、最後の話が終わった後に、ろうそくの火を消し、
皆一斉に体育館の四隅に散り、右回りに一人ずつ走ってタッチしていこき、
全部で三周まわろう。と言う事になった。
「最後は肝試しらしい終わり方をしよう」先生はそう言った。
生徒は何かのまじないかな?と思った。
まぁ恐そうだし、肝試しらしいと思い先生の提案を受け入れた。

そして恐い話が始まった。暗闇の体育館で、ロウソク一つの明かりだけである。
生徒の予想以上に、最悪の雰囲気だった。
最初は余裕だった先生も、徐々に雰囲気に呑まれ、こわばった顔をする。
生徒はそれを見て、余計に恐くなる。
肝試しとしては最高の状況だ。

恐い話も序盤にさしかかるころ、一人の生徒が「人の気配がするね」などと言い出し、
恐怖心はなお高まっていった。

先生もそれを煽る。
「さっきから女の人がこちらを見ている」
「先生は霊感が強いから見える」

などとおきまりの煽りをし、生徒を恐怖のどん底に陥れる。

最後には、明かりを消し、体育館の四隅に皆一人づつ別れなければいけない。
暗闇の体育館に一人ずつ散らばらなければいけないのだ。
これ以上の恐怖はないだろう。先生はそれも踏まえつつ煽っている。
案の定生徒は「最後のあれ、やめようよ」などと言い出す。
先生の思い通りだった。
「肝試しだからやらないと意味ないぞ」先生は笑いながらそう言った。

そして最後の恐怖話、もちろん先生が最後に話をする。
それは、この学校で実際に目撃された体育館の幽霊 と言う話だった。
生徒の恐怖心は最高潮に達していた。

「最後のあれ、できそうにないよ」「わたしも」
先生は煽る。
「もしかしたらその幽霊が最後のあれの時に追いかけてくるかも」
生徒は騒いだ。
「いやだ」「やめてよ」もう半泣きだった。

そしていよいよ先生の話が終わった。と同時に先生はロウソクを消し、決められた四隅の一つに走った。生徒も叫びながら四隅に散って行った。

先生は3番目にタッチされる場所にいた。「いいぞ~」先生が叫んだ。
だだだっ、と生徒の走る音が響く。最初の生徒が次の生徒にタッチしたようだ。
だだだっ、こちらに走ってくる。だだだっ。はぁはぁ。生徒が息を切らしながら先生にタッチ。
先生も次の生徒に向かって走った。

暗闇の体育館は予想以上に広かった。
先生も全速力で走っているが結構な距離だ。
さきほど自分が生徒を煽った言葉が脳裏に掠めた。幽霊が追ってきませんように。
そう思った。

そして最後の生徒にタッチする。ハァハァ。息も絶え絶えだったが、
先生は最後の生徒の反応が楽しみだった。最後の「儀式」にはカラクリがあった。
だだだっ。足音が聞える。最後の生徒は、たどり着いた後悲鳴を上げるはずだ。
だだだっ。足音が聞こえなくなった。
「着いたな」先生は反応が気になった。

「             」
…….だだだっ。また走る音が聞こえた。

「?」「おかしいな」先生は思った。
最後の生徒はタッチする相手がいないはずだった。

そこで生徒は異常を感じて叫ぶはずだった。しかし叫び声もない。
だだだっ。走る音がこだまする。
そう。一周するには5人必要なのだ。先生はそのからくりを知っている。
…….突然悪寒が走った。

「いるはずのないもう一人がいる。」
そう思った瞬間、足音がぴたりと止んだ。

………..たっ…………たっ…………だだだっ

また走り出した。
どうやら自分の元に走ってくる。その得体の知れないものが、体育館の真ん中を横切って
自分に向かって走ってくる。
「わーーーーーーーーー」先生が叫んだ。
その悲鳴のなかに、かすかに、そこにいるはずのない人物の笑い声が混じっていた

 

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