面(オモテ)さん

面(オモテ)さん

218: 本当にあった怖い名無し@\(^o^)/ 2015/07/15(水) 13:28:49.72 ID:SVXeXbgn0

つぎの日、廊下で倒れてる俺を爺ちゃんが発見して。
女とお面のこと話したんだよね。
そしたら、当たり前だけど、爺ちゃんも驚いて。
もちろんすごい心配もしてくれたよ。
お面のことは興味ないみたいで、女の事ばっか聞いてきたな。
「どんな顔だった」とか「何着てた」とか。
正直、そんなのよく覚えてなくてwww

でも、「なんか草とか土みたいな臭いがして、たまたま振り返ったら居た」って言ったんだよね。
そしたら、爺ちゃん、なんだか神妙な顔をして、「トイレには行くな。行きたくなったら庭にしろ。これから爺ちゃんはヨネちゃん連れてくっから」って。
ヨネちゃんってのは、近所に住んでる婆さんで、どっかの神社の娘だったらしくて、霊感とかそういう能力があるって言われてる人。

でも、爺ちゃんが家でてったら、俺一人じゃん?そんなん怖いから、俺もついてくって言ったんだ。
そしたら、爺ちゃんが「面(オモテ)さんから離れたらだめだ」って言って、俺は家で留守番することになって。
爺ちゃんが出てって、めっちゃ怖いから、テレビ爆音にして待ってたんだよね。
そしたら、意外とすぐ帰ってきたんだ。
5分くらいかな。ほんとにすぐだった。
ヨネちゃんが「○○(俺の名前)ちゃん! 大丈夫かー?」って来て。
ヨネちゃんにも、昨日の夜の話を全部したんだ。
ヨネちゃんは「うんうん。怖かったねぇ」って言って。

俺は、は? こいつ真面目に聞いてんのか? こっちはマジで幽霊見てんだよ。趣味では霊感持て余してんじゃねえんだよ。ふざけんな。って心の中で悪態ついたよwww
ハッキリいって、この時はヨネちゃんのこと、いい人だとは思ったけど、信用してなくってさwww
とにかく人と居れればいいやと思って。
でも、爺ちゃんとヨネちゃんはなんだか真面目に話し合ってて。
「面さんがどうにかしてくりゃあいいんだけどなあ」
「もしかすっと、縁結ばなきゃいけないかもしんねえな」
こんな感じだったと思う。

そんな話が終わって、ヨネちゃんが机にお面を立てたんだ。そこらにあるブックスタンドで。
それで「○○ちゃんも一緒に面さんに助けてもらえるようお祈りしよう」って言うんだよね。
それで、ヨネちゃんはなんだかゴニョゴニョ呪文を唱え始めたわけ。
俺は呪文は分からないから、とりあえずお面に向かって手を合わせて、心の中で「助けてください、助けてください」って祈ってたよ。

10分くらい祈ったかな。お面がカタカタ揺れ始めて。
怖くて、目を閉じられなくなって、お面を凝視してたんだ。
そしたら、あの草みたいな臭いがし始めて。
しかも、昨日よりはるかに強く臭ってさ。

俺、昨日のことが頭の中でフラッシュバックして、その場で吐いちゃったんだよね。
で、何かいる気配がして、部屋の隅見たら、やっぱり居るんだよね。あの女が。
昨日は、上半身しか見えなかったんだけど、今日は全部見えて。
白い和服着てて、手を前にして立ってるんだよ。
そんで、カオナシみたいなポーズで、両手で大事そうに、赤い毛糸みたいの持ってんの。
「うわああああああ!!」って叫んだら、爺ちゃんが「大丈夫だ! 大丈夫だ!」って俺の背中さすってくれてさ。
ついでに戻したゲロも片付けてくれたんだ。

ヨネちゃんにも爺ちゃんにも、女は見えてるみたいで、ヨネちゃんは呪文の声大きくするし、爺ちゃんは俺と女の間に座って、俺を隠してくれた。
でも、女はその場で立ったまんまなんだよね。
昨日みたいに近寄って来たりしないの。
しばらく怖いけど、我慢して、祈ってたら、今度は畳をペタペタ歩く音が聞こえてさ。
女は立ったままで動いてないから、違うやつなんだよね。
周り見渡したら、なんだか茶色い赤ちゃんみたいのが、ハイハイしてんの。
こいつは段々俺に近づいてくるんだよ。

しかも、どうやらこいつからあの臭いが放たれてるみたいなんだよね。
すごい怖くて、もう気絶したいって思ったよ。
そしたら、ヨネちゃんが爺ちゃんに「こりゃもう縁結ばなきゃ危ないね」って言ってさ。
爺ちゃんは「もう少しなんとかなんないんか?」って言うんだけど、ヨネちゃんが首振って。
爺ちゃんはなんだか悲しそうな顔して、机の上のお面を取って、俺に「面さんつけろ。守り神なんだから○○を守ってくれるよ」って。もう何がなんだか分からないから、すぐお面かぶったよ。
茶色の赤ちゃんが俺のほう向かってきてるし。
そしたら、部屋の隅に立ってた女が、周りをキョロキョロしだしんだ。
で、部屋中をウロウロ歩き始めて。
俺を探してるっぽいんだよね。
俺の顔覗き込んだりして、首傾げたりしてた。
心臓とまるかと思ったよ。
で、しばらくして諦めたのか、「キィィィヤアアアア!!」みたいに叫んで、消えたんだ。
気づいたら赤ちゃんも居なくなってた。
結局、そのあと俺は気絶しちゃって、起きたらもう夕方だったんだよね。
ヨネちゃんはもう帰ってた。爺ちゃんは俺が起きたら、すぐにすき焼きを作ってくれた。
それで、申し訳なさそうに話した。
「○○、今日から爺ちゃんと一緒に住もう」
これ言われた時、あんまりなんで?って思わなかったな。
爺ちゃんは必死に頑張ってくれたの分かったし、それに、朝家から出るなって言われた時になんとなく分かってたんだよね。
「実はな。○○はお鶴さんに憑かれたんだ。ごめんな。爺ちゃんが守ってやれなくて。でも面さんがお前を守ってくれてるから、安心してくれ。それでもな、面さんが守ってくれるのは、この家の者だけなんだ。だからな、お前は今日からここで住まなきゃならん。ごめんな……」
爺ちゃんは泣きながら、俺に頭を下げたよ。
それで、結局、俺はここで住むことにしたんだ。それしかなかったしね。
お面は、この家に属する者なら守ってくれるらしくて、ちょっと外に出たり、外泊しても、大丈夫らしい。てか、大丈夫だった。
そんで、今は爺ちゃんの跡継いで農家やってるよ。
あの女の幽霊に関しては、爺ちゃんによく聞いたよ。
あいつはお鶴さんって言うらしくて、俺の御先祖様が婚約してた女の人らしい。
だけど、何故だか分からないけど、お鶴さんの家が村八分になっちゃったらしいんだよね。婚約した後に。
だから、婚約破棄して、御先祖様は違う人と結婚したらしいんだけど、お鶴さんはやっぱり悲しんでさ。
自殺したらしいのよ。崖から飛び降りて。
何がいけないって、それだけでもいけないのに、お腹に子供居たらしいんだよね。それで、御先祖様とか周りの村人は哀れに思って、お鶴さんの家を村八分から、解いたらしいんだけど。
それでも、やっぱお鶴さんはすごい恨みがあったみたいで、時おり俺の家系の男子に憑くんだって。
昔はそれで皆死んでたんだけど、なんか旅の僧侶だかなんだかに相談したら、例のお面をくれてさ。
それからはそのお面が家を守ってくれてるんだと。
詳しいことは爺ちゃんも分からないみたいだったな。で、ヨネちゃんがやってたのは、お面に頼んで、お鶴さんを慰めてもらおうとしてたんだって。
これが上手くいく奴と、いかない奴が居て、上手く行けば、ここの土地に拘束されず、お鶴さんの恐怖からも解放されるわけ。
上手くいかないと、この家でお面に常に守ってもらいながら、暮らすらしい。俺はこのパターン。
ここで暮らすの、最初は嫌だったけど、今はなかなか楽しいよ。
回線遅いけど、ネットもあるしねwww

ほんで、あれからお鶴さんも見てないしね。
多分、どっかに居るんだろうけど、俺もあっちもお互いに認識できてないんだと思う。
まあ、こんなもんです。
読んでくれてサンキュー。

 

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