歯型

歯型

865 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:2001/06/28(木) 15:50

部屋の中に、複数の動く物があります。気配というか、音というか、、匂いと言うか、、とにかく何かが私のふとんの周りにいるのです。しかし、私は強引に目を瞑って眠りました。相当疲れてもいたようです。次の日、いくつかの場所をあたってバイトを探しました。
しかし、なかなかに見つからず喫茶店でコーヒーを頼み、街の喧騒に怯えながら小さくなって寂しい思いでした。

、、、、ふと、私は自分のコーヒーカップを持つ手首に目がとまりました。
、、、、、、歯型?

良く見ないと気づかない、しかしはっきりと歯型がついていました。
私は寝ぼけて噛んだのだろう。と思いこみました。
私のものよりはるかに小さな歯型がついた手で飲むコーヒーは不味かった。
正直、帰りたかった。

しかし帰る場所はアパートでした。おじさんに会うのではないか?と怯えながら部屋に足早に戻り鍵をかけました。血なまぐささは幾分、収まりましたが、、化粧の匂いが新しく残り香として部屋に漂っていました。

其の夜。

私がたくさんのよだれのついた布団をかぶり眠っていると、またも、いくつかの気配が感じます。猫か?そう思いますが私は熱帯夜のような(実際にはまだ夏ではなかったです)蒸し暑さの中で汗をたらしながらも布団の中でふるえていました。

しかし私は逆に耐えきれず暗闇の中、ふとんからいきなり手を出し、その黒い塊のほうへブン!と布団を持って払いました。気のせいだと確かめたかったのです。
しかし、私の手の甲はある冷たい物にぶつかり、それは勢い良く壁にぶつかり畳に転がったようでした。私は手に感じた感触に背筋が凍りました。昔、若い頃、喧嘩をして殴った頬の感触と同じだったからです。黒い塊がころころと転がってとまりました。そのときふいにそれが人間の頭部であると理解出来ました。その刹那「ここどこ!!」突然それが低いドスの聞いた声で叫びました。私は気を失ったようです。

目覚めると、たくさんの頭部は消えてました。私は汗びっしょりだったので体を吹くためにシャツを脱ぎました。そして驚愕しました。
全身、歯型だらけだったのです。、、、、自分でねぼけてやったのではありません。
その証拠に私の頬に血が出そうなほどの歯型がついていました。
しかも、その歯型は大きいのから小さな小さな物までさまざまでした。
私は悲鳴をあげて出ていこうとしましたが、髭をそるのは忘れませんでした。

おばさんおじさんは現れませんが、私はどんどん追いこまれていきました。
実際、このころの私は今思っても行動がおかしいです。
その最たる理由は相変わらずその部屋で寝てたことでしょうか。

私の体重は10キロ以上減り、傍目から気味悪がられるほど青白くなっていました。そのせいか仕事もまったく見つからず、疲れ果てて帰るという毎日でした。歯型は1日消えることなく全身に及び。
面接官のひとりから、その歯型は?と質問されましたがさしてうまい良いわけも見つからずそのまま「噛まれてるようですね」と言ったところ苦笑されました。彼女にやられたとでも思ったのでしょうね。

しかし私の限界は近くなっていました。幻が見えるようになり、歯型をかくすため全身に包帯を巻いたりもしました。そのくせ表を出歩き、見知らぬ人に「おはようございます!」などと大声で言ったりしてました。気が狂う直前だったようです。

その夜はおじさんからのさし入れと書いてあり栄養ドリンク剤が部屋においてました。私は疲れていたので遠慮なくゴクゴク飲みました。そして私はいつもより深い眠りにおちたようです。
そのおかげか夜中に目が覚めたときすっきり頭がさえてました。そして私の体にとりついている10数個の黒い塊が私を噛んでいる事が、異常だとはっきりづいたのです。怖がってる場合じゃない。と。まぁそうですね。。そう思ってる私は冷静なつもりでしたが、ピークにたっしていたのでしょう。
ムクっと置きあがると暗い部屋の中で黒いかたまりがズズズっと畳を転がるように進み台所に消えていったのを感じました。

私は「待てぇ!!!」と今まで上げたことの無いような声を上げると台所に行きました。そしてそれらの影がなぜかといれに逃げたような気がしてトイレにかけこみました。トイレは和式でしたが中は真っ暗です。電気をつけようとしましたがつかず、私は荷物箱をひっくり返し懐中電灯を手にしました。

そして笑いながらトイレの中にライトを向けました。。
闇に照らし出される、、汚物、、目を凝らすとウジがうごめいてるのが分かります。そして其の中に、、うつろに見上げるたくさんの頭部が私を見上げていました。私の糞尿にまみれて。。。

ぎゃぁああああ。私は悲鳴を上げ、なぜか帽子を手にとると下着姿のままドアを蹴破るように飛び出しました。ぎゃ!!ドアの向こうに誰かがいたようでした。振り向くと女装したおじさんがマスターキーと、、包丁をもって倒れていました。
「いきなり開けるな!!」そう怒鳴られ私は無償に腹が立ち近くの石をどんどん投げつけました。おじさんは悲鳴をあげうずくまりました。私はいつしか投げている石が人の頭であることに気づきました。それらがおじさんにどんどん噛みついています。私は怖くなり、アパートを飛び出しました。

あれ依頼、おじとは連絡をとっていませんし、連絡も来ません。
あの頭部が幽霊であってほしいと思っています。そうじゃないと私はあのアパートにいる間、ずっと毎日、糞尿を、、、。

あれから13年がたち、今では遠い記憶になりましたが私の首元に残る一つの歯型はしばらく消えませんでした。私が殴った頭部だったのでしょう。

 

 

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