すいません、うちの娘が
309 名前:あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日:04/06/24 01:17 ID:2bUeiwk6
あるHPからの転載。
体験・創作不明。
私が大学生の頃。帰りにタバコを買おうと思って足を止めたときのことでした。
6、7歳位の女の子がそばに寄ってきたのです。
「こんにちは」
私は変な子だなと思いましたが一応「こんにちは」と返しました。
「なにしてるんですか」
「何ってタバコ買おうとしてるんだけど」
妙に話しかけてくるその子に私はついそっけない態度で接していました。
私が財布を出しタバコを買い終えるまで
その女の子は「いい天気ですね」とか「何年生ですか」とか話しかけ続けてきました。
私は適当に答えていました。
私がそこを離れようとするとその子は「お母さんが呼んでるから来てください」と言って私の手を引っ張るのです。私はいよいよおかしいと感じました。私に用があるとでも言うのでしょうか。
私はなんとか誤魔化して帰ろうとしましたが
女の子はこちらを振り返りもせずに「呼んでますから」と言い続け私を連れて行こうとするのです。
私はその執念のようなものに引きずられるかのように女の子の後に付いていきました。もしかしたら本当に困っているのかもしれない、と思いもしました。
5分ほど歩くと少し大きめの公園に着きました。
ブランコやジャングルジム、藤棚やベンチが見えます。
夕暮れ近いせいか、人影はありませんでした。
女の子は藤棚の方に私を連れて行きました。
その公園の藤棚は天井の他にも側面の2面にも藤が伸びるようになっていました。
中にはベンチがあるのでしょう。
女の子は「お母さん連れてきたよ」と藤棚の中に向かって呼びかけました。
私からは角度が悪くてそのベンチは見えませんでした。
中を覗きたかったのですが私の手をしっかり握っている女の子を振りほどくのがなんだか悪いような気がして出来ませんでした。
「すいません、うちの娘が」と藤棚の向こうから声がしました。
普通の、何の変哲もない女の人の声でした。
ですがその声を聞いた瞬間、全身に鳥肌が立ち「ヤバい」という気持ちになったのです。
一刻も早くそこから逃げ出したくなりました。
「わたし、遊んでくる」と唐突に女の子が言い、藤棚のすぐ向こうにあるジャングルジムへ向かって行きました。私ははっと我に返りました。
「すいません、うちの娘が」
また、あの声がしました。なんの変哲もない声。今度は鳥肌も立ちません。
気のせいだったのか…?
私は意を決して藤棚の向こう側、ベンチの見える場所にほとんど飛び出すような勢いで進みました。飛び込みざま、ばっとベンチを振り返ります。
…そこには少し驚いたような顔をした女性が座っていました。
肩くらいまでの髪をした30過ぎくらいの女性です。
「すいません、うちの娘が」
彼女は今度は少しとまどい気味にそう言いました。
…なんだ、普通の人じゃないか、そう思うと急に恥ずかしくなり
私は「ええ、まぁ、いえ」などと返すのが精一杯でした。